2009年9月13日日曜日

東北紀行 その五 松島そして寒河江へ

朝食を終え八時過ぎに鬼首温泉を出発。
国道47号線に迫り出した鳴子温泉郷の巨大歓迎アーチを横目に、
そのまま松島のある石巻まで、
地道を走って二時間あまりの行程だった。

夏休み期間だったが平日ということが幸いしてか、
渋滞に遭うこともなく走行はかなりスムーズだった。
初めての地ということもあり、
土地には不案内で心もとなかった。
しかし、標識を頼りに道なりに走っているうちに、
いつの間にか松島の賑わった観光街に着いていた。 

松島について最初に感じたのは、
観光地化されたその派手な賑わいの雰囲気が、
何ともよく安芸の宮島周辺に似ていたことである。
そのお陰で何処を探索する苦労もなく、
あっさりと遊覧船の出港場所まで辿り着いてしまった。
その呆気なさに返って物足りなさを感じたのだった。

港周辺はさすが観光の松島といった混雑だった。
しかし幸いなことに駐車場には少しの空きが見られ、
不案内な地で探しまわることもなく、
瑞巌寺傍にスムーズに車を止める事が出来た。
そこで初めて知ったのだが、
遊覧船の出入港はまさに瑞巌寺の門前にあるということだった。

私は松島観光をお触り程度でと思っていたが、
妻は折角来たのだから奥松島も見たいという。
そうなると次に出発する船は一時間後。
間の悪いことに奥松島まで回る遊覧船は、
ほんの数分前に出港したばかりだった。

昨日、昼食を抜いて体長がよかった夫婦は、
擦り胡麻と納豆そして甘いズンダ豆が、
一口大の餅に載せて詰め合わせてある一品を、
国道沿いにあった道の駅で購入した。
おやつ程度のカロリーで済まそうと考えたのである。

しかしそこは、瑞巌寺の門前でしかも松島観光の拠点。
安芸の宮島周辺と同様に、
海の幸が豊富であるのをこれ見よがしにディスプレイしている。
私達はそんな食欲をそそるレストランを横目に通り抜け、
足早に瑞巌寺の巨大な山門をくぐった。

瑞巌寺はその高名の通り、
如何にも権力者の庇護を受けて発展した禅寺らしく、
京都の五山に比肩する威容を誇っていた。
その寺内は本堂までの数十メートル、
岩肌をくり貫いた洞窟群に、
五輪塔や笠付塔婆といった墓標が安置されており、
本堂まで散策しながら拝観できるよう柵が巡らされていた。

こういった訪問者を威嚇するような、
権力者の庇護の元に発展した寺社は、
京都に済んでいると、
好むと好まざるとに関わらず何度となく足を運んでいる。
正直、松島まで来てその中を
敢えて拝覧する気にはなれなかった。

入館料を徴収する本堂前でちらりと本堂を垣間見、
夫婦は踵を返してもときた道を引き返した。
門前に並ぶ土産物店をウインドウショッピングしながら、
遊覧船が係留されるチケット売り場まで歩いた。

すると突然に俄か雨。
慌てて門前の一軒で雨宿りをした。
その店内には南部鉄のお土産物が展示してあり、
ちょっと記念にと小物を購入した。
雨はしかしほんの十分程度で通り過ぎた。

こうぶらぶらして時間をつぶしても、
距離にすればほんの数十メートル歩いただけである。
十二時過ぎに出港する奥松島を巡る遊覧船までは、
まだよほど時間には余裕があった。

そこで私達は待合所の中でペットボトルを購入し、
空いた椅子に腰掛けると例の三色餅を頂いた。
妻は納豆の絡んだ餅が苦手だと云う。
どうして?
納豆餅を食べると、
他の全ての餅が糸を引くから・・。
納豆の臭いが鼻につくらしい。

私は粘りも臭いもさほど気にならなかったが、
確かに納豆持ちを先に頂くと粘りが箸に絡み付き、
白胡麻もズンダもみんな糸を引いた。
これこそが東北の文化なのかもしれないと、
そのごちゃ混ぜの味覚を口内に感じながら、
その感覚に馴染めない妻に妙に納得したのだった。

奥松島を巡る遊覧船は十二時を過ぎて出港した。
湾内を一巡する二時間若の航行である。
もう二度と来ることはないと、
二階の特別席を予約した。
別料金を請求されたが、
その分客席は独占状態で、
何とも優雅なクルーズを満喫することが出来た。

松島やああ・・といっても江戸時代の話。
当時の辿り着くまでの苦労を考えると、
その風景に感動するのもわからぬではない。
しかし、車で移動できる現代では、
こういった風景は日本国中、
いたる処で目に触れることが出来る。
便利さが産む不幸かもしれない。

確かに湾内の点在する島の数は多い。
その姿も遠景ながら目を引く美しさがある。
しかしいちいち紹介するガイドの声が煩わしい。
後方で乗客がカモメ相手にえさを撒いている。
水面に落ちた餌をついばむカモメの姿がなんとも不細工。
それにしても船内を吹き抜ける海風はたとえようもなく心地よい。
そのうちその心地よさに包まれて爆睡となった。

経験値として松島その心地よさは絶景であった!
などという冗談はさておき、
二時間かけて巡る程のものとは、
残念ながら思えなかった。

松島観光を終え、
その足で高速に載り山形寒河江市へ向かう。
本当は小野川温泉や肘折温泉に泊まりたかったのだが、
事情があってその日は寒河江駅前のホテルへ宿泊。
そこで楽しい出会いがあった。

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