私は正直な話、
経済に関してはからきし才能がない。
お金の計算が出来ないわけではない。
一万円あれば何が買えるかくらいは、
ちゃんと目論みくらいはできる。
しかし、今どれほどの経済力かとなると、
全く配慮に欠けてしまう。
財布の中身が頭から消えているのである。
そんなわけだから、
よく文無しで出掛けてしまったり、
財布の中実を見たら、
千円札一枚なんてことが頻繁に起こる。
カードがまだそれほど普及していなかった時代、
それが原因で折角欲しい書籍に巡り会えても、
指をくわえて帰宅せざるを得ない事も度々あった。
しかし最近はそういった粗忽な私にとっても、
カードという強い味方がつくようになった。
こういったカードの普及は、
確かに好ましいことに違いないのだが、
キャッシュサービスという機能に問題がある。
性格的に借りてまで何かを購入する気はほとんどない。
無けりゃ無いなりに・・をモットーに生きてきた。
だからキャッシュサービスなど、
私にとっては無用の長物なのである。
ところが、ほとんどのカードには、
このキャッシュサービスなる機能が付いている。
そういった機能や、
リボルビングといった支払いシステムが、
カード会社にとっては稼ぎ頭なのかもしれない。
それは理解できないわけではないが、
私には必要の無い機能であり、
出来れば全く無くなってくれた方が有り難い。
恐らく私のような顧客はカード会社にとって、
余り儲からないグレイな客に違いない。
手持ちのカードも出来れば一枚か二枚にしたいのだが、
私のようにあまりカードを使わない者でも、
7~8枚は所有している。
しているというより、
行き掛り上持たされてしまったというがほとんどで、
必要なのかどうかと疑問符の付くようはカードが、
引き出しの中に眠っている。
それがなんとも皆キャッシュ機能を持っている。
一度支払いの後そのカードを失った事がある。
まるで神隠しになったように、
財布にしまったはずのカードが消えたのである。
レジからの歩行距離は数メートル。
少し歩いたところで買い忘れに気付き、
財布の中を探したがない。
レジを離れてたった一二分の間だというのに、
何処を探してもカードは見つからなかった。
私は慌ててカード会社に連絡を取り、
カード無効の手続きをすると、
直ぐさま最寄りの警察に走り、
カードの紛失届けの手続を済ましたのだった。
それを怠ればキャッシュサービスが、
持ち主にとって大きな災いを生む事くらい、
さすがの私も理解していたからであった。
手続きが素早く出来た事が幸いしてか、
消えたカードが買い物に使われた形跡は無かった。
拾得者がそのカードを試したかどうかまでは分からないが、
それから五時間あまりして、
カードの拾得者から届け出があった旨、
私が会計をしたレジの担当者から連絡があった。
カードの拾得者はしかし名を名乗る事も無く、
そのまま立ち去ったという。
なぜ届けられたのが五時間後なのか、
どう考えても理解が出来なかった。
彼が拾得した私のカードで、
何かに利用しようとしたかどうかは分からない。
しかし、
拾得したであろう所から数メートルとは離れていない、
それこそ目の前にあるレジに届けたのが、
五時間後という時間差が一体何を意味するのだろうか。
この謎は未だに解けてはいない。

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