2009年5月8日金曜日

ジャングル庭

我が家の庭は正に雑木林状態である。 
お隣は日本庭園・・美しい! 
そのジャングルが今正に花盛りである。 

三十年前に隣との柵沿いに植えたジャスミンが、 
いつの間にか野生化して、 
もうヤケクソみたいに咲き誇っている。 
実はお隣まで侵入したのだが、 
整理しようとしたら切らないでくれと頼まれ、 
実に厚顔無礼に幅を利かせている。 

駐車場に植えてあるのが忍冬。 
スイカヅラとも呼ばれ、 
中国では漢方だが、 
日本では余り薬として珍重された形跡はない。 

漢方なのだからと私も花を摘んで乾燥させ、 
忍冬茶を作ってみた。 
だが、実のところ一度で止めてしまった。 
美味いのか美味くないのか判らなかった上に、 
何しろ宇治は茶処、 
宇治茶の方が美味い上に、 
たいした利尿効果もなかったからである。 

この二三日前から咲き出したのは柚の花。 
これが面白い。 
桃栗三年柿八年柚の阿呆は十三年という諺がある。 
この柚の木、やはり阿呆なのか、 
正に十三年後になんとかほどの数の実を付けた。 
諺通り寸分違わぬ結実だった。 


この柚、余り丹精しないものだから、 
見事に裏と表がある。 
しかも実の少ない裏年は必ずあるが、 
表の年でもそれほど多くか結実しない。 
それでも七八年に一度くらいは、 
百数十個という収穫の年もある。 
今年は表の年だが、 
花の数を見ると余り期待は出来ないようである。 

毎年初めにジャスミンが満開になり、 
続いて忍冬その後から柚といった具合に、 
時間差で咲くのが通年だったのだが、 
今年はどうしたものか一斉に咲き始めた。 
暑かったり寒かったりといった気候変動の波状攻撃で、 
彼らも何時咲いたらいいのかと思案に暮れた結果、 
混乱してしまったのかもしれない。 

若い一時期、山野草と蘭が好きで、 
手当り次第に買い集めた事があった。 
妻もスケッチの対象にと喜んだのをいい事に、 
面白い原種の蘭や珍しい山野草を、 
購入しては面倒見切れずに消滅させていた。 

二三年で消えてしまっても、 
スケッチの材料になったのだからと、 
言い訳がましく自己弁護していたが、 
やはり心が痛んで次第に遠退いてしまった。 

それでも全てが消えてしまったわけでもない。 
妙にこのジャングル状の狭い庭に適応して、 
たくましくも生き残っている野草や蘭もいる。 
野草といえるかどうか判らないが、 
アシタバなどはもうところ狭しと繁茂状態である。 
一番長く居着いているのがアマドコロ。 
毎年、清楚な百合状の小花を咲かせる。 

写真の一つは最近購入したブルーベリーの花だが、 
その下にあるのがアシタバの葉である。 
これがキアゲハのいい食料になる。 
アシタバを植えてからは、 
毎年大量に羽化していたのだが、 
この二三年はスヅメ蜂の餌になってしまい, 
中々巧く羽化までには辿り着けないようである。 

スズメバチを敵視して二三匹やっつけたのだが、 
彼らの関係に土足で踏み入った自分の行為こそ、 
いったい何事かと思い直し、 
いまのところ成り行き任せにしている。 
一時期のようにキアゲハの舞う姿は多くはないが、 
それでもちらほら舞姿が見えるところをみると、 
どこかで誕生してはいるようである。 

妻は今でもこのジャングルから運び出される蘭に喜ぶが、 
余り中まで入ろうとはしない。 
なにしろ狭い上に雑然としていて足場が悪い。 
泥棒よけにはなりそうなくらいである。 
もし状況を知らずに足を踏み込んだりしたら、 
なにかに蹴つまずいて、 
怪我でもし兼ねない環境なのである。 

それでもその中には、 
飼い主の邪険な扱いにも負けず、 
生き残ったセッコクやデンドロビウムが数種類、 
今年も香りの良い花をつけてくれた。 

もう数は増やさないつもりだから、 
欲しいという方がいるとどんどん渡している。 
昨日も学生がスケッチの材料に欲しがっていると、 
妻が花のついた小型のデンドロビウムを、 
数鉢、袋詰めにして運んだ。 

このジャングル庭も、 
いずれは整理しなければならないと、 
心の中では考えている。 
だがしかしその景観は、 
私の書斎とその雰囲気がよく似ている。 
雑然として手の施しようがなく、 
主人の体から派生した別種の生き物のように、 
何となく有機的で曖昧な空間なのである。 
こうして眺めてみると、 
恐らく私が管理している限り、 
この庭も私の部屋と同様で、 
このままのジャングル状態が続きそうである。

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