2009年5月16日土曜日

アナログとディジタル

物質としての生命体はアナログである。

これが真理か否かは別にして、

私達の日常はアナログ的に成立している。

恐らくこれを生理的に否定することも、

論理的に否定することも困難と思われる。

 

数字はディジタルである。

何となれば、

奇数という存在を考えることで直ぐに解明できる。

三の数を二分割してみると、

決して1.5ではない。

1.51.5の間には限りなく.5の数字が、

それこそ地獄の果てまでも続いている。

1.555555555555555555・・・といった具合で、

決して2分割できないことが理解できると思う。

 

この果てしなく割り切れない数字を奇数という。

実は奇数だけが割り切れないわけではないという世界が、

数学理論の中には数多く存在するらしい。

私は数学者ではないから、

その詳しい説明は出来ないが、

一つだけ面白い理論を紹介することくらいは出来る。

 

この理論の名前までは失念してしまったが、

話はこうである。

一人の人間が百メートルを走ろうとする。

初めに50メートル、それから25メートル、

その次はその半分といった方法で走るとすると、

その人間は永遠に、

100メートルのゴールへは辿り着けないことになる。

 

これはいわば数字はディジタルの世界という、

実に明快な説明と思うのだが、

このパラドックスを考えた数学者が、

だから数学はディジタルといったかどうかは判らない。

 

この考えは数学を扱ったことのある人間なら、

誰もが知っているごく初歩的な考えと思われる。

もし数学世界がアナログだったら、

きっとゼロという概念は生まれなかった。

これは私の独断である。

数学者には笑われるかもしれないが、

アナログ世界にはゼロは存在しない。

 

数学的に表現すると、

理論上一個のリンゴを食べると、

そこにリンゴは存在しないことになる。

しかし現実に存在するリンゴは、

皮を剥いたり芯を摂り省いて食する。

従ってリンゴ一個食べたからと言って、

皮や芯は忽然と消えてしまったりはしない。

数学的にはゼロでも、

アナログ世界ではこれをゼロとはいわない。

単に一個のリンゴを食べたというだけの結果である。

 

ゼロはインド人によって考えだされたと聞く。

その誰かがゼロを発見しなかったら、

今の世界にゼロという数字が存在していないかもしれない。

そうなると数学ばかりか、

ゼロを取り入れた成立した数多くの理論までが、

そしてまた都市を形成するビル群もまた、

夢幻と消え去ることになる。

 

これは私の想像だが、

数字が考えられ使用された段階で、

人は決してディジタルな存在とは捉えていなかった。

物品を区分けする為に、

暫定的に使用していたはずの数字が、

ゼロという数字の発見によって、

ディジタル的資質を開花させ、

いつの間にか実用社会から独立した存在となり、

様々な可能性を切り開く道具となった。

 

それでも人間はアナログな生命体である。

ディジタル映像といった切れ切れの映像の間にある、

存在しない空白の空間を、

勝手に脳が一連の流れを想像し、

点と点の間を繋いでしまうのである。

そうして途切れ途切れの映像をアナログ化することで、

動画として捉えている。

 

しかし同時にディジタル世界にも片足を掛けている。

なぜなら、一人がリンゴを食べてしまったと主張すれば、

仮にそこに皮や芯が転がっていても、

第三者は勝手にリンゴがゼロと解釈してしまう。

 

そのことは取りも直さず、

自分の行動がアナログ世界のものか、

その身がディジタル世界にあるかなど、

まるで頓着なく過ごしていることを意味してる。

こういった曖昧さは実は非常に危険なのである。

 

随分以前だが、

広告をフラッシュバック的な技法で、

瞬間的に流すのが問題になったことがある。

人間の脳に巧く作用して記憶に潜在し、

無意識のうちに、

そういったものを欲しがる習癖を利用したのである。

 

さすがに悪用される危険性もあり、

そういった広告は禁止されたが、

存在しない空間を想像で繋いだり、

存在する物を勝手に消してしまうという人間の能力は、

人間の生命活動にとって必要不可欠な能力に違いない。

それはしかし同時に、

多くの誤認錯誤を犯す危険性も内蔵しているのである。

 

いずれにせよ、

フラッシュバックや摺り込みといった情報操作によって、

人は簡単に騙されてしまうという、

実に脆弱なアナログ脳の持ち主であることは確かである。

こういった脳の脆弱さを私達はしっかり認識し、

現代のようなディジタルに氾濫する情報社会の中では、

情報をしっかりと主客選択し、

惑わされないよう注意する必要があるのかも知れない。

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